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改正FITで工務店に申請対応の波

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が2017年4月1日以降、大きく変わった。「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT法)等の一部を改正する法律」(改正FIT法)の同日の施行を受けた措置だ。

法改正には、高額な買取価格の条件で認定を取得したにもかかわらず、太陽光発電機器の値下がりを待って事業化を遅らせる行為や、メンテナンスの不備による周辺住民からの苦情を抑える狙いがある。

事業化を遅らせる行為への対策としては、17年3月31日までに電力会社との接続契約(工事費負担金契約を含む)を締結できなかった案件の認定を失効する。ただし、16年7月1日以降に認定を取得した案件については、認定日の翌日から9カ月以内に電力会社との接続契約を結べば新たな認定を得られる。


旧制度で認定を受けている事業や既に発電中の事業の今後の扱いを示す(資料:日経ホームビルダー)

 

12年7月1日以降に認定の申し込みを行い、既に売電している住宅用の太陽光発電は、新たに事業計画認定申請書(以下、事業計画書)を提出しなければならない。提出期日は17年9月30日だ。


既に発電中に事業者の扱い(資料:日経ホームビルダー)

 

手続きを怠ると、事業者としての認定が取り消されて売電できなくなる恐れがある。なお、旧FIT法施行以前の12年6月30日までに申請した案件に関しては、事業計画書を送付する必要はない。

 

申請から認定には約1カ月

改正FIT法では、認定の仕組みも変えている。発電設備の仕様などを確認する従来の「設備認定」を、発電設備のメンテナンス計画や関連法令の遵守を記した事業計画書によって認定する「事業計画認定」に改めたのだ。手続きは従来通り、工務店や専門工事会社が担える。

10kW未満の住宅用太陽光発電の場合、登録している事業主のメールアドレスに通知が届く。代理申請者である工務店や専門工事会社のアドレスが登録されているケースもあり、その場合は代理申請者にメールが届く。メールアドレスの登録がなかったり、不達になったりする場合は事業主にはがきが届く。

過去に太陽光発電を手掛けた工務店は、それぞれの建て主に連絡して手続きの内容を説明し、書類作成を支援することに迫られている。

事業計画書は、チェックシート形式の簡易なものだ。添付書類も建造物所有者の同意書や構造図、配線図などで済む。


10kW未満の太陽光発電の事業計画認定申請書の一部。事業内容の記載が求められる(資料:経済産業省)

 

ポイントとなるのはメンテナンスについての記述だ。保守点検と維持管理計画について、メンテナンス体制を構築している点を明示する。保守点検責任者の項目には工務店や専門工事会社などを記載。保守点検などの内容として、「月々の発電量を確認し、電源喪失など異状があった場合には直ちに対応する」といった具体策を記す。記述欄に書ききれない場合は別紙を添付する。

認定方式の変更に伴って、認定手順も変わった。新制度では最初に電力会社との接続契約を結び、続いて経済産業局への事業計画認定、最後に売電単価・売電期間の決定という流れになる。旧制度では、最初に設備認定を受け、電力会社への申請、売電単価・売電期間の決定という流れだった。

実際の手続きとしては、電力会社への接続の申し込みと経済産業局への認定申請はどちらから行ってもよい。そのため、両者を同時に出すのが現実的だ。

ただし、接続契約が完了しないと売電単価・調達期間が決まらず、認定は取得できない。認定の申請から取得には、1カ月程度を要する見込みだ。認定を取得して1年を超えても運転を始めていなければ、認定は失効する。(日経ホームビルダーのウェブ記事を転載)


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