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    実績値が設計値を上回るZEB ZEB実証事業リポート(4)

     環境共創イニシアチブ(SII)は、経済産業省と環境省の連携事業として執行した2019年度ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業における採択事業の傾向を分析している。19年度に実績報告を行った経産省の交付決定事業(経産省ZEB)の24件と環境省の交付決定事業(環境省ZEB)の24件、計48件の申請目標(設計値)の達成率とその要因を見てみよう。

     

     建物全体のエネルギー使用量(電力、ガス、灯油)およびBEMS(ビルエネルギー管理システム)によるエネルギー計量データを分析した。測定期間は2018年4月~19年3月である。

     

     分析対象事業のZEB達成度は、創エネルギーを加味した基準1次エネルギー消費量からの削減率100%以上の「ZEB(ゼブ)」が5件、同75%以上の「Nearly ZEB(ニアリーゼブ)」が13件、同75%未満の「ZEB Ready(ゼブレディ)」が30件。ZEBを達成した5件は、いずれも新築の「事務所」だった。

     

     年間1次エネルギー消費量の削減率を見ると、実績値が設計値よりも14.7ポイント高く、基準値に対して73.1%削減していた。

     

    設計値と実績値の年間1次エネルギー消費量の集計(パソコンやプリンターといったOA機器などによる「その他1次エネルギー消費量」を含まず)(資料:環境共創イニシアチブ)

     

      達成要因(事業者からの報告、複数回答可)を見ると、経産省ZEBの24件では「省エネ意識の高揚」が18件で最も多く、次に「エネルギー管理が適正」が14件と続く。環境省ZEBの24件では、「エネルギー管理が適正」が18件、「省エネ意識の高揚」が16件となり、経産省ZEBと同じ項目が上位に並んだ。

     

     経産省ZEBからは「入居者の『ZEBに入居している』という意識により、省エネ活動が以前よりも促進された結果、設計値より高い省エネ効果があったと考える」「集中リモコンにより、空調の消し忘れなどの無駄がなくなった」「空調設備の温度設定・制御や運用時間の管理が適切に実行されている」などの報告があった。

     

     同様に環境省ZEBからは、「BEMSによるスケジュール管理や制御、管理者による運転管理、入居者の省エネ行動の結果、設計値以上の省エネ効果があった」「空調の温度設定調整や照明の照度・点灯の人感制御に加え、繁忙期における運用の設定変更を行うことで省エネを達成した」などの報告があった。

     

     事務所16件における設備区分別の平均1次エネルギー消費原単位の設計値と実績値を見ると、経産省ZEB、環境省ZEBともに「空調」と「照明」の削減幅が大きい。経産省ZEBは「換気」と、パソコンやプリンターといったOA機器などによる「その他」は実績値が設計値を下回った。創エネは平均では実績値が設計値を上回っているが、佐賀、高知、神奈川、大分、熊本、北海道の6件が設計値以下の発電量だった。

     

    経産省ZEBと環境省ZEBにおける「事務所」の設備区分別の年間1次エネルギー消費原単位(資料:環境共創イニシアチブ)

    (日経クロステック「省エネNext」公開のウェブ記事から抜粋)

     


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