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FIT抜本見直しの法案成立、「FIP」設計が次の焦点に

 固定価格買取制度(FIT)の抜本的な見直しを規定する「再生可能エネルギー特別措置法・改正案」が2020年6月5日に、参院本会議で可決し、成立した。これにより、再エネ推進策は、「コスト低下を促す大規模電源」と「地域のレジリエンス(災害対応力)向上に貢献する小規模電源」に分け、前者の買取価格は固定から市場連動に移行する。

 

 これまでの有識者会議での検討を通じ、経済産業省は、市場価格に連動する仕組みとして「フィード・イン・プレミアム(FIP=Feed in Premium)」を示し、改正法でも同制度を想定している。FIPとは、再エネ発電事業者が電力卸市場への売却など市場価格で電力を販売する場合、プレミアムを上乗せする方式。売電単価に市場変動の要素を加味しつつ、プレミアム分だけ売電単価を高くすることで再エネの事業性を高め、普及を後押しする(図)。

 

 

FIP制度の仕組みのイメージ(出所:経済産業省)

 

 太陽光の場合、すでに連系出力10kW以上50kW未満の低圧連系案件に関しては、自家消費を前提とした「地域活用電源」に移行し、停電時の自立運転機能を条件にFITによる余剰売電になった。ただ、一定条件を満たした営農型は、全量FIT売電を認められた。

 

 今後焦点となるのは、50kW以上の高圧連系案件のうち、何kW以上がFIPに移行するのか、という点だ。今年度から、250kW以上の太陽光が入札制に移行したため、仮にFIPと入札制を連動させるなら、250kW以上がFIPの対象となる。入札するのは、売電収入の基準となる「基準価格(FIP価格)」になる。また、その場合、50kW~250kWの領域が地域活用型太陽光となり、低圧太陽光と同様、FITによる余剰売電に移行する可能性もある。

 

 だが、経産省では、「FIPと入札制は必ずしも連動しない」としているため、例えば、50kW~250kWの案件はFIPに移行するが、入札制度の対象ではなく、調達価格等算定委員会でFIP価格を事前に決めるという制度設計もあり得る。

 

 今後、有識者会議や調達価格等算定委員会で、こうした高圧連系太陽光の出力規模別の推進策について議論されることになる。(日経BP総研クリーンテックラボ)

 


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