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    新エネルギー財団が「太陽光の発電側課金には調整措置を」提言

    経済産業省の所管する一般財団法人・新エネルギー財団は2020年4月に、「新エネルギーの導入促進に関する提言」を公表した。同提言の太陽光に関する提言のなかで、2023年度の導入予定になっている「発電側課金(発電側基本料金)」に関して、「稼働率の低い太陽光と風力発電については、…稼働率に応じた追加調整措置を要望する」とした。

     

    「発電側基本料金」は、電力系統の送配電設備に係る維持・増設の原資として発電設備に課金するもの。固定価格買取制度(FIT)で売電している再生可能エネルギー電源に関しては、FIT期間中、固定価格で買い取られ、「発電側基本料金」による追加コストを売電価格に転嫁できないため、「調整措置」が必要とみられてきた。

     

    だが、2019年12月の調達価格等算定委員会の議論では、「FIT再エネの多くを占める小売買取を採用している電源については、FIT単価とは別に価格を上乗せするという工夫により、他電源と同様にFIT事業者と小売電気事業者間で発電側基本料金の転嫁について協議すべき対象に含まれる」とし、必ずしも調整措置が必要でないとの方向性が出ていた(図)。

     

     

    図 発電側基本料金の転嫁(出所:経済産業省)

    とはいえ、発電側基本料金は、最大出力(kW)に応じて、発電事業者に課金するため、発電量(売電量)単位(kWh)当たりの負担は、設備利用率によって異なってくる。例えば、設備利用率14%の太陽光で1.5円/kWhなのに対し、同26%の風力では0.8円/kWhに減り、同78%のバイオマスでは0.3円/kWhに留まる。

     

    こうした再エネ種ごとに、きめ細かく上乗せしていくことが実務上難しいとの見方もあった。新エネ財団の提言である「稼働率の低い太陽光と風力発電については、追加調整措置が必要」との要望は、こうした声を背景にしたものとみられる。

     

    経産省は、これまでのFIT抜本見直しの議論の中で、早ければ2021年度からFIP(フィード・イン・プレミアム)を導入するとともに、2022年度から「地域活用電源」のカテゴリーを創設してFITを適用する、というスケジュールを示している。

     

    FIPでは、発電事業者が小売契約を締結し、計画値同時同量のインバランス(発電量予測が外れた場合のペナルティ)のリスクを負うことになる。これに備え、発電量予測のノウハウを蓄積したり、専門事業者などに依頼したりする必要がある。今回の提言では、こうした側面に配慮し、「FIPへの円滑な移行には、国による制度環境整備と、一定の試行期間など、十分な準備期間を要望」とし、事実上、2021年度を準備期間とすることを求めた。

     

    その背景には、「全国大のインバランスシステムの運用は、2022年度からであり、FIPインバランス対応も、それを踏まえるべき」とした。そのうえで、「将来的には、インバランス料金に太陽光発電を増やすと価格を安くするインセンティブを設けることを要望する」とし、太陽光増加によるインバランスリスクヘの軽減措置を求めている。(日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ)

     


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