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    ZEB実績値が設計値を14ポイント上回る ZEB実証事業 調査発表会2020リポート(2)

     環境共創イニシアチブ(SII)は、2020年度に実績報告を行った経産省の交付決定事業(経産省ZEB)の37件と環境省の交付決定事業(環境省ZEB)の29件、計66件の申請目標(設計値)の達成率とその要因を分析している。

     

     実績データは、補助対象建物全体のエネルギー使用量(電力、ガス、灯油)およびBEMS(ビルエネルギー管理システム)によるエネルギー計量データを取得して分析した。計測期間は2019年4月~20年3月。

     

     分析対象事業のネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)達成度は、創エネルギーを加味した基準1次エネルギー消費量からの削減率100%以上の「ZEB(ゼブ)」が7件、同75%以上の「Nearly ZEB(ニアリーゼブ)」が17件、同75%未満の「ZEB Ready(ゼブレディ)」が42件。ZEBを達成した7件は、いずれも新築の「事務所」だった。

     

     年間1次エネルギー消費量の削減率を見ると、実績値が設計値よりも14ポイント高く、基準値に対して72.8%削減していた。

     

    設計値と実績値の年間1次エネルギー消費量の集計。分析対象66件の合算値。パソコンやプリンターといったOA機器などによる「その他1次エネルギー消費量」は含まない(資料:環境共創イニシアチブ)

     

     達成要因(事業者からの報告、複数回答可)を見ると、経産省ZEBの37件では「エネルギー計画が適正」が25件で最も多く、次に「エネルギー管理が適正」と「省エネルギー意識の高揚」がそれぞれ14件と続く。

     

     環境省ZEBの29件では未達成が2件あった。未達成の要因(事業者からの報告、複数回答可)は「逆潮防止制御を行ったことにより、余剰電力分が発電されず、総発電量が設計値を下回ったため」「設計値以上の給湯利用が業務上発生したため」「床暖房故障により空調負荷が増大し、消費電力が増加したため」といった報告があった。

     

     分析対象の建物用途で最も多かったのは事務所(30件)。同用途における設備区分別の平均1次エネルギー消費原単位の設計値と実績値を見ると、経産省ZEB、環境省ZEBともに「給湯」と「空調」の削減幅が大きく、「換気」は実績値が設計値を下回った。

     

    経産省ZEBと環境省ZEBにおける「事務所」の設備区分別の年間1次エネルギー消費原単位(資料:環境共創イニシアチブ)

     

     

    (日経クロステック「省エネNext」公開のウェブ記事から抜粋)

     


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